変質するヨーロッパに注意を
地球環境問題の発祥地は、ヨーロッパと言っても過言ではないかもしれません。同地こそ、最も熱心に環境問題に取り組んできた歴史があります。そして、この地が近代という時代の源流であり、かつ、先進国が集まる地であったからこそ、日本国もまた、今なお同地を見習うべきモデルとして仰ぎ見ているのかもしれません。実際に、菅首相による温暖化ガス実質ゼロ目標の公表も、ドイツやイギリスといった世界に先駆けて脱炭素化を進めてきた諸国に追随したためとされています。しかしながら、民主主義、自由、法の支配といった人類普遍とされる諸価値を原則として掲げ、かつ、制度化してきたヨーロッパ諸国の変質についても、注意深く観察すべき時期に至っているように思えます。その理由は、冷戦の終焉は、必ずしも旧社会・共産主義国の民主化、並びに、自由化を意味せず、むしろ...変質するヨーロッパに注意を